もちねこのペアダンスメモ

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異国のダンスを学ぶ

ボールルームダンス(社交ダンス)の3つの世界

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socialdance.stanford.edu

 

 


 [:contents]

 

 

 

ボールルームダンス(社交ダンス)の3つの世界

どちらのほうが良いですか?

 

はい、その質問は意図して挑発的ですが、簡単に答えられます。これら3つの形式はすべて有効であり、それぞれ相応の理由があって、支持者たちは楽しんでいます。

しかし、これらが互いにどのように異なり、そして、なぜ異なるのかを知ることは役に立ちます。

以下の3番目のセクションで説明するように、場合によっては違いを知ることは不可欠だからです。 

 

まず、ボールルームダンスBallroom Dance)とは何ですか?

 

ボールルームダンスBallroom Dance)」とは、カップルが協力して踊る伝統的なパートナーダンスの様式を指ししばしばクローズド・ダンスポジション(ボールルームダンスポジション」)で行われます。

 

ワルツ、スウィング、タンゴ、サルサ、ブルースなどが含まれます。

 

ボールルームダンスBallroom Dance)」とは、このページで説明されているすべての形式を網羅した包括的な用語です。 

 

ボールルームダンスの形式は重要です。

これまでに記述された最も初期の(15世紀)ダンス形式は、二人一組になって踊るボールルームダンスだったのです。バレエやジャズダンスなど、今日のパフォーマンスダンスの形態の多くは、最初に生まれたボールルームダンスの形式から発展しました。 

ボールルームダンス3つの世界は、同じ歴史的ルーツ、似たようなステップのボキャブラリー、音楽を共有しているので、3つの形は、生まれつき兄弟と考えられています。はい、兄弟はけんかすることも知られていますが、お互いに支え合うこともできます。 

(1)3種類の違いについて

3つの根本的な違いは何ですか?

 

主な違いは、観客が異なることです。

自分の楽しみを超え、誰のために踊っているでしょうか? 

 

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次に違いをよく見てみましょう... 

 

あなたの観客の期待は何ですか?

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あなたの態度はどうですか?

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間違いに関する態度はどうでしょうか?

 

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あなたの見返りはなんですか?

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標準化されたステップとテクニックがありますか? 

 

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標準化されたスタイルはありますか?

 

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決まった振り付けはありますか?

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自分で決められますか?

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技術の難しさ

 分かりきったことを言うようですが、競技ダンスcompetitive ballroom)の技術は、競技用に設計されています。

 

ダンスの技術が簡単では、ジャッジは優秀なダンサーと最高のダンサーを区別できません。そのため、競技ダンスcompetitive ballroom)の技術は、意図的に難易度が高く、最高のダンサーのみがそれをマスターできます。

この技術を習得するには、長い年月と極度の集中力が必要です。

米国の社交ダンスのチャンピオンであるスティーブン・ハンナは、「あなたは一番高みに上り詰め、最高のダンサーになりたいに違いありません。週に7日は、他の影響から干渉されずに、あなたの時間を使えるようにしなければなりません。」と話します。

 

 逆にソーシャルなボールルームダンスの技術は、意図的に簡単です。2人でパートナーシップを組んでダンスをすることは、自分の動きを他の人と調整するために、それだけで十分にチャレンジです。それに、ほとんどの人はできるだけ早く友達と踊りたいと思っています。 

従って、ソーシャルダンスの技術と、複雑なフットワークや特殊なスタイルではなく、相手とのつながり(コネクション)※に焦点を当てることができるように意図された便利な手段です。

(※つながり(コネクション)とは、ダンスがどのように見えるかではなく、肉体的、精神的にどう感じるかです。) 

 

(2)3つの形式の簡単な歴史

ソーシャルボールルームダンス

クローズドカップルダンスの最初の時代では、ボールルームダンスの最初のカテゴリだけがありました。すなわち非競争的なソーシャルボールルームダンス(社交ダンス)です。

これは19世紀のワルツとポルカの時代でした。「ボールルームダンス」とは、「舞踏会場で踊る」ということを意味していました。

 

19世紀のボールルームにおける価値観の重要な部分は、ヨーロッパでもアメリカでも、ダンスの相手や集まった仲間の喜びを高めることに重点を置いた、無私無欲な寛大さでした。

 

  一般的なマナーとして、紳士淑女とも、相手の幸福が自分の幸福と同じくらい重要であるかのように振る舞うべきです。

マース教授、アメリカのダンスの大家、1871年。

 

  真実かつ偽りなき礼儀正しさとは、特定のルールを単に守ることよりも深い土台があります。なぜなら、知的な精神と親切な心の自発的で自然な効果ゆえで、その効果は他の人々の幸せに配慮して、迷惑に片目をつぶるものだからです。

エドワード・フェレロ、アメリカのダンスの大家、1859年。

 

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 原初のボールルームでの態度におけるもう一つの重要な部分は、柔軟な心構えパートナーへの順応でした。

アメリカのダンスの大家ウィリアム・デガーモは、1875年に次のように書いています。

 

 「多様なスタイルを身につけた紳士は、さまざまなパートナーに容易に対応できます。2人が同じように踊るということはありません。彼らの動きが調和する時、この個性は自然で必要なだけでなく、全体を楽しく多様化します

 

 フレッド・アステアは、

 柔軟性を養いましょう。あなたのスタイルをパートナーのスタイルに合わせることができます。そうすることで、あなたは自分の個性を放棄するのではなく、パートナーの個性とブレンドさせます」

と書いています。

 

 ソーシャルダンサーにとって、寛大さ、優しさ、柔軟性というこの元々の態度は、決して止むことはなく、今日に至るまで続いています。

 

展示的なボールルームダンス 

  次に展示的なボールルームダンスが来ました。19世紀末にはキャバレーやボードヴィルなどで公演形式の社交ダンスが行われることもあり、20世紀になると観客に向けたボールルームダンスが盛んになりました。1912年から1915年にかけて、ヴァーノンとアイリーン・カッスル夫妻(下の画像)は、ステージ上でダンスを披露したプロダンサーの中で最も抜きん出た存在でした。

 

 フレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズは、映画を通じて、20年後にカッスル夫妻の名声と影響力を超えました。ボールルームダンスの伝統は今日でも「ラ・ラ・ランド」のような多くの映画や、ブロードウェイのショー「バーン・ザ・フロア」などに受け継がれています。

 

競技ダンスCompetitive ballroom dance

 競技ダンスCompetitive ballroom danceは最後にやってきました。ロンドン郊外の労働者階級によるシークエンスダンス(Sequence Dancing)の運動から発展したもので、そこでは何百人ものダンサーが、アーサー・モリスの「Veleta ヴェレタ」(1900)のような振り付けられたワルツを暗記していました。

これらは、シークエンス化されたワンステップ、ツーステップ、タンゴ、フォックストロットを含んで広がっていきました。

 

 ロンドンにおいて、さまざまなダンサーの集団がありましたが、集団によって好みが異なっていました。1914年までには、フリースタイルのダンスと、振り付けられたダンスを好む人の間で階級が分かれました。

 

 ロンドンのアッパークラスはフリースタイルのダンスを好み、郊外の労働階級はシークエンスダンスを好みました。後者は、毎週舞踏会を開催しました。そこでは急速に増えているシークエンスダンスの踊り手が集まり、学習し、覚え、ダンスを披露しました。

 

次の段階は標準化でした。

これらのシークエンスダンスの創作と標準化は、この時期に登場したいくつかの組織、特に大英帝国ダンス教師協会(Imperial Society of Teachers of Dancing)によって管理されていました。

 

 今日の「インターナショナル・スタイル」(すなわちイングリッシュ・スタイル)ボールルームダンスは、19047月にロンドンで設立された帝国協会によって監督されており、その目的は 「我々の相互利益を守るために大英帝国でダンスをする適切な資格のある教師たちの友好な協力関係」(憲章から引用)です。

 

これらの組織の当初の焦点は、ステップ、テクニック、スタイルを1つの「正しい」バージョンに標準化することでした。

 

その後20年間、競技は生じませんでした。

 

中産階級の第一の動機は、上昇志向です。技術を習得することで、人生における地位を高めることができます。労働者階級はシークエンスダンスの習得を受け入れ、これにより、ロンドンのフローリッククラブは、忍耐と勤勉さによって社会的地位を向上させる方法として、1922年にボールルームダンスの最初の審査のあるボールルームダンスの競技会を生み出しました。この労働倫理は、今日でも競技ダンスにおいて見られます。

 

コンペティションボールルームダンスのスタイル(競技ダンスのスタイル)

競技ダンスの初期においては、イングリッシュスタイルは自然で控えめが好まれました。

1923年のロンドン・ダンスマニュアルの「The Modern Ballroom Dance Instructor」によると

「すべての動きは簡単で、気取らないものです。それは、誇張によって簡単に台無しになります。最高のダンサーは、最も静かです。彼らはその腕前を振るわないものです」

 とあります。

 

 

言い換えれば、初期の競技会とは、礼儀正しい社交ダンスの価値に基づいてジャッジによって評価されるダンスシークエンスを単に展示したものでした。

 

 その後、競技会では予選ラウンドの形式が導入され、競技会はかなり混雑したフロアから始まり、一度にすべての競技者が踊り始めます。審査員は、選手を数人のファイナリストに絞り込み、個々に評価します。

 

 

この競技形式の変更により、競技ダンスの外観はドラマティックに変化しました。ダンサーは群衆から目立つために、はるかに広範な動きをしなければなりません。極端で、拡張された動きは、生き残りの問題であり、他者を凌駕しなければ、すぐに自分が淘汰されて退けられました。

 

 今日に至るまで、このような非常に幅広いムーブメントは、ソーシャルなボールルームダンス競技ダンスの際立ったスタイル上の違いです。

 

(3)違いを知ることはなぜ重要なのか

3つの形式のうち、どれが最適ですか?

あなた次第です ダンサーは通常、自分の個性に特に合ったものを好みます。

 

 次の3つの理由から、違いを知ることが重要です。

 

 ★あなたの性格に最も合った形式を認識する為


ディーン・ パートン氏は、下記の記事「参加申込をする前に」で、違いを指摘しています。
www.nwdance.net

 

ディーン氏は、ソーシャルなボールルームダンス競技ダンスには本質的な違いがあり、さまざまな性格が自然とどちらか一方に引き寄せられると考えています。つまるところ実質的には、自分自身を知り、自分に合ったものを見つけることです。

 

ディーン氏の言葉を引用すれば、

この2種類のダンスに注意を向けてください。なぜなら、違いを理解していなければ、間違ったダンスの惑星に着陸し、悲惨な結果を招くことになるからです。

ということです。

 

 

★ある形式の規則と態度を、別の形式に適用するという不幸な誤りを避ける為。これは単なる抽象的な区別ではなく、深刻な影響を及ぼす可能性があります。

 

 例えば、ダンサーがカジュアルなダンスの場で、訳知り顔で相手に「君は間違っている。私のやり方でやってくれ」などと言いがかりをつけて、競技ダンスのスタイルに従うように要求したりすれば、社会的な催しにおいて反社会的行動が見られるという矛盾が引き起こされます。

 (詳細については、「大雑把な男ども」のページを参照してください) 

 

逆に、競技でパートナーのミスしたステップにソーシャルに適応することは、そのラウンドからあなたを排除するかもしれません。

どちらの形式も、それぞれの領域内では同じように有効ですが、態度はほとんど逆です。

ソーシャルなダンスと競技ダンスの両方をする人もいれば、3つのダンス全てをする人もいます。

ソーシャルなダンスでは、相手に友好的で、自然に適応し、パートナーのさまざまなスタイルを温かくサポートします。そして、彼らは競争する時には厳格であり正確で拡張されています。

彼らは違いを理解しており、尊重しています。 

 

★詐欺的なマーケティング手法を見抜く力を磨く為

 

競技ダンサーで学者のジュリエット・マクメインが、説得力のある著書『魅惑依存症 Glamour Addiction』で指摘しているように、一部の(全てではない)ボールルームダンススタジオは、ソーシャルなボールルームダンスを学びたいと願う学生の心を変えようとします

 

彼女は次のように記しています: 

主たる要因として、ソーシャルなダンス教えるよりも、競技ダンスを教えることがはるかに収益性が高いことが証明されているので、業界のレトリックは、ソーシャルボールルームダンスとは、ただ単にダンススポーツの下手な実践なのだとほのめかします。生徒たちは通常、いくつかのレッスンを受けて踊り方を学び、1~2カ月でスタジオを出ることを期待してソーシャルダンスのプログラムに参加します。

ビジネスの観点から見ると、スタジオと教師は、この計画を変更することに深く投資しています。教師が生徒に競技ダンスを売り込むことができれば、生徒は難しい競技用のテクニックを習得するために、ダンスのレッスンに何年もかけなければならないのです。

意欲的な競技ダンサーを志してスタジオに入る学生は非常に少ないです。 パーソナルなダンス教師による計算された励ましによってのみ、新入生は競技のカテゴリに入るように説得され、ダンススポーツのライフスタイルを始めるようになります。

 

ダンススタジオは、顧客のほとんどが、競技スタイルをマスターするための日々のハードワークではなく、楽しみのために気楽なソーシャルなダンスを求めてやってくることを知っているので、一部の(すべてではない)スタジオは、競技ダンスとソーシャルボールルームダンスは同じものだという誤った印象を与えようとするのです。

 

「この2つのグループ間の連続性を強調し、ソーシャルボールルームダンス競技ダンス隔たりを軽視しようとする試みは、『グラマー・マシン(魅惑を作り出す仕掛け)』の重要な装置である」

 と、マクメインは言います。

 

競技ダンスは、競争に引き寄せられた人々に完璧にフィットしています。

そのため、私たちも、ジュリエット・マクメインズ(彼女はプロの競技ダンサーです)は、競技ダンスや正直なスタジオを批判していません

 

重要なのは、「多くの違いに気づくことは賢明だ」ということです。

 

すなわち

  • 技術

  • スタイリング

  • 標準化

  • 技術の難しさ

  • 適応性

  • モチベーション

  • 態度

 

ああ、ロマンス

このページには、まだどう見ても明らかなことが書かれていないことに気付いたでしょうか?

ソーシャルボールルームダンスの始まりから、ダンスをする主なモチベーションの1つは、ダンスのロマンチックな楽しみでした。

今日では、配偶者を探すことは軽視される傾向があり、パートナーの役割がジェンダー規範である必要はありませんが、ソーシャルダンスは求愛において6世紀以上もの間、重要な役割を果たしてきました。

ジェーン・オースティンの言葉を借りれば、「ダンスが好きになったことは恋に落ちるための一歩だった」(高慢と偏見)。

ソーシャルダンスを題材にした映画は、アステアとロジャーズものから『ダーティ・ダンシング』、『ラ・ラ・ランド』まで、ほとんどが恋愛ものです。

2人でパートナーシップを組んでダンスをすることを楽しむ理由は、他にもたくさんありますが、このページはロマンスについて少しでも言及しなければ不完全だったでしょう。

 

終わりに


 私のWebページでは、ソーシャルボールルームダンスの柔軟で親しみやすく適応性のあるスタイルを強調しています。

すでに競技や展示会的なボールルームダンスに特化したサイトはたくさんあり、バランスを取るための代替案を提供したかったので、私はこれらの記事をウェブに載せました。

それぞれのフォームには、残りの2つにはない利点がありますが、それは、一つが残りよりも「優れている」ということではありません。どれも皆すばらしいです。

 

あなたに話しかけてくるものを見つけてください。 

 

他人の真実を大切にしましょう


ソーシャル、競技、展示会的なボールルームダンスはすべて、パートナーとなって踊ることへの愛で結ばれています

私たちはそれぞれ自分の好みを持っているかもしれませんが、そして、それは当然のことですが、好みを共有していない人をはねつける必要はありません。

私たちの批判は、私たち自身とは情熱が異なるだけの人に対するものではありません。この世界に真の害を及ぼしている人々の為に、私たちの批判を取っておこうではありませんか。

 

リチャード・パワーズアメリカを代表する社交ダンスの歴史学者であり、歴史的および現代の社交ダンスを40年間教えています。彼は世界中でワークショップを主催しており、現在はスタンフォード大学のダンス学部の常勤講師を務めています。19世紀と20世紀初頭の社交ダンスを中心に、過去5世紀の社交ダンスを研究してきました。彼は1981年に「ビンテージ・ダンス」という言葉を作りました。現代の社交ダンスに関しては、リチャードが強調するのは、柔軟で注意深いパートナー関係、創造性、個人的なスタイルの開発、そして様々なパートナーのダンススタイルに適応する能力です。30数回の来日経験もある。

http://richardpowers.com/

(原著者から許諾を取り、翻訳しています)