もちねこのペアダンスメモ

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異国のダンスを学ぶ

【社会問題】彼は弁護士や獣医に社交ダンスを教えていた。生徒たちは彼を強制送還から救おうとしている。

 

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12月20日、ガルトソーグ・ガンタルガ(Galtsog Gantulga)は、アレクサンドリアにあるアーサー・マレー・ダンススタジオでブランドン・コグヒルのステップを手助けしている。ガンタルガはモンゴルからの不法移民で、飲酒運転で有罪判決を受けた後、就労許可証を取り消された。ダンススタジオの生徒たちは彼に猶予を与えようとしている。(マイケル・ロビンソン・チャベス/ワシントン・ポスト)

www.washingtonpost.com


ワシントン・ポストの2017年12月17日の記事より

記者:マリア・サケッティ

 

過去60年間、共和党はチャーリー・ハイマックを当てにすることができました。この元空軍大佐はリチャード・ニクソン大統領に献金し、ロナルド・レーガン元大統領とブッシュ元大統領を支援し、昨年はドナルド・トランプ候補に投票しました。

 

しかし、最近のバージニア州知事選では、トランプ政権による不法移民の取り締まりや、79歳のハイマックが好んでリンディ・ホップをするダンススタジオのインストラクターを追放しようとしたことなどから、ハイマックはついに民主党候補に投票したのです。

 

ハイマックと、全く異なるグループの弁護士、退役軍人、犬の散歩をする人、昆虫学者などダンスへの愛で結ばれた人々は、五月以来、彼らが「G」と呼ぶインストラクターを守るための十字軍に参加しています。彼はモンゴルからの無届け移民で、2016年に飲酒運転で二度逮捕されました。

 

一部の人にとっては、彼らの努力は見当違いであり、危険ですらあるでしょう。

 

しかし、ボールルームダンサーたちによると、ガルトソーグ・ガンタルガは才能豊かなインストラクターで、生徒たちが話す必要がある時や踊りたがっている時を察知するが、イニシアチブを取るには、あまりにも引っ込み思案なのだといいます。
彼らが指摘する所によると、2件の飲酒運転事件では彼は誰も傷つけませんでしたが、服役しました。彼は車を売って費用を捻出し、アルコール依存症患者会であるアルコホーリクス・アノニマス(AA)に参加しています。

 

アメリカのこうしたダンサー達は、そのような人々にもう一度チャンスを与えることを知っています。しかし、アメリカの移民制度は、必ずしもそのような見解ではありません。

今のところ、彼らの粘り強さのおかげで、ガンタルガには猶予が与えられています。

 

「彼はここで人生を築いたんだよ」と語るのは、このプロジェクトに参加した元ソフトウェアエンジニアのメアリ・チム氏です。

 

「彼は酔っただけだよ」

 

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元空軍大佐チャーリー・ハイマックは、八月にガントルガが米移民税関取締局に拘留されている間、ガルトソーグ・ガントルガ(背景の写真)から電話を受ける。(Jahi Chikwendiu)



より良い生活を求めて


ガンタルガ (22) は、9歳の時に両親と一緒にアメリカに来ましたが、父と母は、遠く離れた険しい故郷での生活よりも良い生活を築くことを期待して、ビザを更新しないままで超過滞在していました。
アメリカの地で2人の幼い子どもが生まれたので、彼らはアメリカ市民になりました。しかし、自分たちは法的地位を得られないとあきらめた夫妻は、2013年にモンゴルに戻ることとなりました。

 

一方、ガンタルガは、オバマ政権時代に若年時にアメリカ合衆国に入国した不法移民者のためのプログラム 「若年移民に対する国外強制退去の延期措置(DACA)」 を通じて、一時的な労働許可を得ていました。

このプログラムは、トランプ大統領が2018年3月に打ち切り予定です。彼は家族が去った後もバージニアに留まり、大学に進学して、家族に送金するお金を稼ぐことを望んでいました。

 

初めて一人暮らしをしたガンタルガは、アレキサンドリアのアーサー・マレー・ダンス・センターに就職して、トップインストラクターまで出世しました。

 

しかし、彼は時々飲み過ぎていたのです。

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バージニア州アレクサンドリアのアーサー・マレー・ダンス・スタジオで踊るガンタルガと生徒(マイケル・ロビンソン・チャベス/ワシントン・ポスト

2016年7月、飲酒運転で逮捕。4カ月後、彼は再び逮捕されました。酒気帯び運転とひき逃げの容疑で、彼は駐車中の車に衝突して現場を去りました。彼は2度とも有罪判決を受け、約1カ月服役しました。

ガンタルガは「若年移民に対する国外強制退去の延期措置(DACA)」の保護を失い、彼の第二の刑事訴追は係争中でした。まもなく、政府は彼を強制退去させると告げたのです。

 

ICEの広報担当者、カリッサ・カトレル氏は、「ガンタルガは非移民ビザで米国に入国し、現在米国では合法的な地位にない」と述べました。「ガンタルガは、自らが治安上の脅威であることを証明している」

 

ガンタルガは、飲酒運転は「もし両親がここにいたら絶対に起きなかったでしょう」と言いました。しかし、彼は責任を取りました。「それは私が犯したことです」と述べました。

 

裁判所を抱き込む

 

連邦政府がガンタルガの追放を推し進めたので、ダンススタジオの学生やスタジオのマネージャーたちはガンタルガを米国に留め置くために動き出し、その過程で米国の移民制度を直接見ることになりました。

 

彼らは、ガンタルガが、150マイル離れたところにある彼が拘束されていた収容所からビデオリンクを介してしか、移民法廷の公聴会に参加できないことに驚いたのです。

 

彼らは、ショックを受けました。

強制送還手続きに直面している移民には、裁判所が任命した弁護士を雇う権利がないこと。移民判事が保釈金の設定を拒否できること。米国の移民税関取締局には、保釈金が設定されて、ハイマックが小切手を持って駆けつけた後でさえも、ガンタルガを何カ月も監禁し続けられること…。

 

8月に行なわれたある公聴会では、法廷を埋め尽くした支持者の中には、社交ダンスの愛好者であり、合衆国エネルギー省、国務省、ワシントン・ナショナル交響楽団などで働く人たちがかけつけました。

 

ハイマックはガンタルガに係争中、自分の家に泊まるようにと申し出ました。

 

 

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8月、アレクサンドリアにあるアーサー・マレー・ダンススタジオで開かれたパーティーで、ダンス講師と学生たちが会場に足を運びます。(Jahi Chikwendiu)

インタビューで、アーサー・マレーの学生たちは、自分たちをGを最愛のメンバーとしているファミリー、つまり、フォックストロット、ワルツ、サルサなどの愛によって結ばれた、子どもが巣立った親、定年退職者、若い専門家たちが集う愉快な一座なのだと説明しました。

 

生徒たちは平日はレッスンに参加し、夜は華やかな衣装で、ストロボの光が降り注ぐ中でダンスパーティーに集います。Gのようなインストラクター達は、壁の花になっている人をフロアに連れていきます。

 

ダンスインストラクターのアヌシャ・ルーズは、このダンススタジオを、ディズニーランドとアメリカのホームコメディ番組「チアーズ Cheers(乾杯)」を組み合わせたものだと説明しました。ボストンのバーを舞台にした「チアーズ」は10年以上続き、エミー賞も獲得しました。

 

「私たちは、人々に大事にされていると感じてほしいし、ここにいたいと思ってほしいのです」 とルーズは学生たちについて語りました。

Gが困難に陥った時、学生たちも同じことをしました。米国の上院議員に電話をかけ、仕事を分担して、弁護士を探しました。「ためらいはありませんでした」と、彼女は言いました。「すぐに助けが集まったのです」

 

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アーサー・マレー・ダンス・スタジオのインストラクターであるアヌシャ・ルーズ (左から2人目) とブランドン・コグヒル (右から) と生徒たちは、この夏、米移民税関取締局に拘束され、国外追放の危機に直面している元インストラクターのガルトソーグ・ガンタルガに携帯電話で話しかけながら笑っている。アーサー・マレーの生徒と教師は、彼の猶予を勝ち取ろうとしている。(Jahi Chikwendiu)

 

国土安全保障省の検察官であるニコラス・J・ボルツマンの異議申し立てに対して、移民判事のヘレイン・パールマンはガンタルガに、彼の犯罪は強制収容に値するほど深刻なものではなく、12,000ドルの保釈金を支払うことを認めると述べました。

 

「彼は自分が過ちを犯したこと、二度とそのような行為をしないと証言しました」と、彼女は言いました。彼は「自らの行為に対して本当に後悔している」のです。

 

検察側は控訴し、ICEはガンタルガを更に約3カ月間拘禁し続けました。彼は11月2日に釈放されたが、それは移民控訴委員会がパールマンの判決を支持し、二件目の飲酒運転事件で、残りの刑期を務めるようアーリントン郡に報告するように言われた後のことでした。

 

バージニア州の選挙は6日後に迫っていました。

 

ハイマックは、不法移民と外国生まれのギャングたちを選挙戦の目玉にした共和党エド・ギレスピー州知事候補に投票する代わりに、民主党のラルフ・ノーザム候補に投票しました。ノーザム氏は、深青色のアンチ・トランプの波の一部となり、知事に就任しました。

 

ハイマックは過去数カ月のインタビューの中で「私は共和党員です。が、現政権は国家的な人道的悲劇を生み出しています」と述べ、前科のない者を含む長期滞在者の逮捕や強制送還が急増していることに言及しました。

 

「ばかばかしい」

 

11月末までにガンタルガは釈放され、アナンデールのハイマックの自宅にいました。彼の次の入国審査は1月に予定されています。

 

ハイマックは「もし誰も引き上げてやらないなら、この可哀想な子供は、おじゃんになってしまうから」と述べました。

 

「私は彼に『これに、全てをかけている。決して止めない』と言ったんだ」