もちねこのペアダンスメモ

もちねこのペアダンスメモ

異国のダンスを学ぶ

チャンスの侵入を歓迎しよう!(社交ダンスにおける水平志向・クリエイティブな思考)

 

socialdance.stanford.edu

私はかつてこの理論を聞きました:

 

イーストコーストスウィングのダンサーは、定義とルールに焦点を当て分類し、分類を標準化します。 それはこの箱、またはあちらの箱に属しますか? どのスタイルが正しいですか? したがって、当然のことながら、テクニック、特に一つの正しいテクニックを定義して実行することに重点が置かれています。

ウェストコーストスウィングのダンサーたちは、踊りの感じ方、つまりダンスの主観的な体験にもっと焦点を合わせています。どのような影響があるでしょうか?パートナーの体験を向上させるにはどうすれば良いでしょうか?したがって、ウエストコーストの考え方は、私たち自身のスタイルとは異なるパートナーに適応するために、より創造性と柔軟性を取り入れています。

この理論は本当ですか?

いいえ。

例外が多過ぎます。たとえば、ハレムのサボイボールルームの歴史のように、多くのルールに基づくダンサーがウエストコースト(西海岸)に住んでおり、多くの適応性のある経験豊かなダンサーがイーストコースト(東海岸)に住んでいます。
そして、この理論は海岸の間にいるダンサーを無視しています。

地理的区分は単純化しすぎています。どこにでも起こりうる垂直思考と水平思考の違いと考える方がより正確です。

 

垂直思考(ヴァーティカル・シンキング)と水平思考(ラテラル・シンキング)

 

これらの用語は、理論家のエドワード・デ・ボノによって作られました。

  • 垂直思考は選択的であり、水平思考は生成的であり、新しい可能性を生み出します。

  • 垂直思考は、他の経路を除外することで経路を選択します(厳密なボールルームダンスの「違法な動き illegal moves」に関するジョークにつながります)水平思考は制限するものでなく、新しい道を切り開こうとします。

  • 正確さは、垂直思考において重要なことです。 豊かさは、水平思考で重要なことです。

  • 垂直思考は、移動方法に関する指示がある場合にのみ変化します。 一方、水平思考は方向を生み出すために変化します。

  • 垂直思考は定義の硬直性に大きく依存しています。それはしばしば、ある種のメンバーとして何を識別するか、その種から何を除外するかに依存します。何かがラベルを与えられたり、カテゴライズされた場合、そこに留まることになります。水平思考では、分類やカテゴリーは固定された分類だけではなく、ナビゲーションを助ける道標です。

  • 水平思考は、偶然の侵入を歓迎します。 水平思考では、挑発的な行動に対する外部の影響を歓迎します。そして、ここでのキーワードは、歓迎すること-単に許容するだけでなく、あなたが予期しているものへの侵入に対する-です。 最も革新的な心は、予期せぬことが起こった時、好奇心を高め、むしろ喜びを持って、反応します。
     

偶然の侵入を歓迎することは、クリエイティブな思考とソーシャルダンスの基本的な要素です。 水平思考のダンサーは、自分が期待していたこととの違いを、間違いではなくチャンスだと考えるのです。

 

この問題について2つの反対する陣営がいますか?


「反垂直的な思想家」という考え方は存在しないので、垂直思考と水平思考の間に矛盾は見当たりません。私たちは皆、垂直的な思考をします。そうしないわけにはいきません。
しかし、私はいくつかの「反垂直的思考家」に会ったことがあります。もし二つの対立する陣営があるとすれば、おそらく、両方のタイプの考え方を使うことに慣れている人たちと、垂直思考だけを有効だと認識している人たちとの間に対立があるでしょう。

心理学者のカール・グスタフユングは、私たちは生まれつき両方の思考を統合する能力を持っていると信じていました。ユングは「私たちの心を全て使うことは自然なことであり、その能力の半分を否定することは不自然だ」 と主張します。しかしユングらは、チュートン人(12世紀のドイツ)の影響を受けた文化(ドイツ語、スイス語、英語を含む)が、垂直的、すなわち直線的な思考へのバイアス、及び、水平的、認知的、直感的な思考へのバイアスの原因になっていることを認めました。


この垂直思考バイアスを含まない他の文化もあります。例えば、その中にはアメリカ文化に同化されたものもあり、特にアフリカ文化とラテン文化(イタリア語、スペイン語ラテンアメリカ語を含む)が顕著です。
おそらくそれは、垂直と水平の思考の伝統が融合し、アメリカ人がとりわけクリエイティブで革新的であることを可能にしたアメリカのメルティング・ポットの性質でありましょう。

デ・ボノの本の冒頭の記述は「ほとんどの人は、伝統的な垂直的思考が効果的な唯一の思考可能な形だと考えている」でした。そして、彼は、あたかも垂直思考の猛攻撃に包囲されているかのように、水平思考を擁護しました。これはデ・ボノが40年前のイギリス人の作家だったからです。80年前のユングのスイスのように、水平思考は当時の英国では少数派でした。
しかし、今日の米国では水平思考が常識と見なされがちです。

デ・ボノと私のメモのポイントは、水平的思考を奨励しつつも、残っている文化的偏見とのバランスをとることであり、垂直的思考を非難することではありません。両方ともが連動します。

 

ダンスにおける垂直思考と水平思考


ダンスの形式が異なれば、必要な心構えも異なります。このサイトに掲載されているすべてのエッセイから明らかなように、成功するためには、ソーシャルダンスの形式では水平思考がより多く必要とされます。

水平思考は、ダンスフロアで見られるように絶えず変化する状況や、様々なパートナーに適応することを可能にします。水平思考は社交ダンスの創造性と自己表現を高めます。デ・ボノの水平思考を定義するリストを見てみましょう。

しかし、水平思考は、あらゆる種類のダンスに向いているわけではありません。
このページに書いたように、私は垂直思考と水平思考の両方がそれぞれに適切な場合に有効であると信じています。


ルールに基づいた垂直思考は、クラシックバレエ競技ダンスなどで支配的な考え方です。全員が規則に同意し、審査員によって精査されている細部事項に同意しない限り、コンペティションを開催することはできません。

しかしながら、ダンスの世界で最も奇妙なミスマッチの一つはリンディホップ、アルゼンチンタンゴ、ウエストコーストスウィング、サルサ、ブルースなどの水平思考のダンス形式に対して、誰かが厳格な垂直思考の態度を取ったときに見つかります。
これらのダンスは、自発性、柔軟性、個性を重んじる文化の中で生まれ育ったものです。
ルールや制約に重きが置かれて踊りの自由が置き換われば、踊り本来の精神は失われてしまいます。

 

今日の言葉:Pedantic(ペダンティック


19世紀のダンスマニュアルに書かれているように、昔からのアドバイスで時代を超越しているものもあります。


「ダンスフロアでは決して知識をひけらかすな」

pedantic(形)
物知り顔の、学者ぶった、学者ぶる、知識をひけらかす
杓子定規な、融通が利かない
細かい事[規則]にうるさい


ソーシャルダンスは社交である、ということを忘れてはいけません

1930~40年にかけて最も著名なWhitey's Lindy Hoppersのスーパースターであるリンディ・ホッパー&ジャズダンサーのレオン・ジェームズ(Leon James)(図)によると、「リンディ・ホップを正しく踊りたい?では 「正確さ」をあまり気にしないでください!」

 



スキッピー・ブレアはウエスト・コースト・スウィングについて説明しながら次のように書いていますが、彼女はあらゆる社交ダンスについても書いていたかもしれません。
スウィングダンスの一番の魅力はダンサーの個性です。スタイルには柔軟性があります。自分が選ぶスタイルは、自分が着る服と同じくらい個性的でなければなりません。スウィングに存在する唯一の問題は、誰かが踊る方法は1つしかないと決めたときです。(上限はその人のものです)

スキッピー・ブレアはウエスト・コースト・スウィングの普及に貢献した1924年生まれのダンサーで、ロビー活動によりWCSをカリフォルニア州の州公式ダンスに認定することに成功させたグループのメンバーの一人。ブレアはユニバーサル・ユニット・システム the Universal Unit Systemという、ミュージシャンが音楽を読むのと同じように、ダンサーがダンスを「読む」ことができるダンス記譜法を発明した。1994年、彼女はナショナルスウィングダンスの殿堂入りも果たしている。World Swing Dance Councilの共同設立者である。

この精神を生かしてください!

 

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リチャード・パワーズアメリカを代表する社交ダンスの歴史学者であり、歴史的および現代の社交ダンスを40年間教えています。彼は世界中でワークショップを主催しており、現在はスタンフォード大学のダンス学部の常勤講師を務めています。19世紀と20世紀初頭の社交ダンスを中心に、過去5世紀の社交ダンスを研究してきました。彼は1981年に「ビンテージ・ダンス」という言葉を作りました。現代の社交ダンスに関しては、リチャードが強調するのは、柔軟で注意深いパートナー関係、創造性、個人的なスタイルの開発、そして様々なパートナーのダンススタイルに適応する能力です。30数回の来日経験もある。

 

※2020年3月20~27日に「Tokyo Historical Dance Workshops」の為、来日予定である。

http://richardpowers.com/

(原著者から許諾を取り、翻訳しています)